冬にバス釣りをするなら知っておきたい「ワカサギ」について徹底解説
冬のベイトフィッシュと言えば「ワカサギ」。今年もワカサギが接岸し始めているようです。
さて、みなさんはワカサギのことをどれくらい知っていますか?
知ったかぶりの私は何も知らなかったので、今回色々と調べ、特集記事としてまとめてみました。ワカサギのことを知ってもバスが釣れるとは限りませんが、知っておいて損はないと思います。
ワカサギ特集第1弾の今回は、ワカサギの生態、ワカサギの一生、産卵などについてお届けします。(第2弾は「ワカサギパターン」を紹介予定です。)
知っているようで知らなかったワカサギについて徹底解説します(キリッ)。
ワカサギ特集記事第2弾「ワカサギパターン」の記事をアップしました。
ワカサギの生態を知る
琵琶湖のワカサギは成魚で体長10cm~15cmほどになります。
ワカサギは環境変化に強い魚で、「水の変化」や富栄養化などの「水質汚濁」、「低水温」、「塩分」に対して適応力が高く、水質が悪い状況でも生息できる魚です。
琵琶湖では、産卵期の水深10cmほどの浅場から、成長期に群れで移動する水深50m~60mまでのエリアで生息しています。
雨の後は、川の上流から流れてくる動物性プランクトンを求めて河口に集まります。
ワカサギのエサ
主なエサは動物性プランクトンですが、浮遊するアカムシを食べることもあるようです。
さらに、アユの卵を食べるとか・・・。アユの数が減っているのはワカサギにも原因があるという説があるようですが、ここでは触れません。
明るいところに集まるワカサギ
ワカサギのえさである動物性プランクトンは、明るいところに多く発生したり集まってきます。
このため、プランクトンを捕食するワカサギも明るいところに集まる習性があります。月が明るい夜にワカサギの活性が高まるのはこのためです。
ワカサギはプランクトンより下のタナを回遊する
ワカサギはプランクトンのやや下層を回遊していることが多いようです。したがって、ワカサギを釣るときは、ワカサギがいるタナよりちょっと上を狙うと良いそうです。
ワカサギのタナを知ればバス釣りにも活かせるかもしれませんね。
ワカサギの一生(一年間)を知る
琵琶湖では、おおむね1月初旬から3月中頃までに流入河川の下流域付近や、そこに近い浅場で産卵します。産卵した後、親魚は死んでしまうため、ワカサギは通常1年で寿命をむかえます。
一方、ワカサギの稚魚は、外的から身を守ることができ、かつエサである動物性プランクトンが豊富な流入河川付近のヨシ帯などでしばらく過ごします。
その後、3月から8月頃にかけては群れで移動しながら、低水温で安定する深場へ移動します。
9月から11月頃には、水深50m~60m位のところで生活し、底引き網漁が始まる12月頃からは深場から浅場に移動して産卵を行います。
産卵のために接岸するワカサギ
ワカサギが接岸するのは産卵するためです。
産卵期のワカサギの最適水温域は6℃~7℃といわれていますので、水温が6℃~7℃になる12月から1月頃にかけて琵琶湖では産卵シーズンを迎えます。
一般にワカサギの産卵は日没後の夜間に行われます。
この時期の夕方から明け方までの間、流入河川の下流域付近(水深2mくらいまで)や、湖岸に近い水深 1 m 前後の浅場に大群をなして集まり、砂と小石の底や水草、枯れ木などに付着性の卵を産みつけます。
このとき、水草や川底の礫が泥や藻やコケでおおわれているような場所では、ほとんど産卵しないことが調査から分かっているそうです。つまり、水通しの良い場所を産卵場所として選ぶということのようです。
雪代とターンオーバーによって産卵活動が引き起こされる?
これは余談ですが、ワカサギの産卵活動は冬のターンオーバーと雪代(ゆきしろ)によって引き起こされるのではないかと考えました。
冬のターンオーバーとは?
冬のターンオーバー発生メカニズム
冬のターンオーバーとは、湖底付近の比較的温かい水と水面付近の冷たい水が上下にひっくり返る自然現象のことです。
冬は気温の低下によって水面付近の水温が下がり、水が重くなって底に沈んでいきます。(水は4℃のときが一番重く、さらに下がって0℃になると逆に軽くなります。)
底付近の水は水面付近の水に比べて温かいので、水面から沈んできた水と入れ替わって浮き上がっていきます。
つまり、冷たい水と温かい水が上下にひっくり返るのです。これが冬のターンオーバーです。
ちなみに、このターンオーバーは概ね水深4m以上の深場で発生し、それより浅い場所では起きないようです。
冬のターンオーバーが起きるとどうなるのか?
冬のターンオーバーが起こると底の温かい水が水面に上がってきますが、底に溜まっている泥やヘドロ、ゴミも一緒に浮き上がってきます。このためターンオーバーが起きると周囲全体の水が濁ってしまいます。
また、底付近の水には酸素があまり含まれていません。そんな水が浮上してくるため、周囲一帯は酸欠状態になってしまいます。
湖底近くの水質の悪い水によって濁りと酸欠が生じるため、冬のターンオーバーが発生すると魚にとって劣悪な環境に様変わりしてしまいます。
雪代+ターンオーバーでワカサギの産卵が始まる!?
雪代とは?
雪代(ゆきしろ)とは、雪解け水のことです。非常に冷たい雪解け水が琵琶湖に流入することにより、湖岸一帯の水温が下がります。
また、雪代は地面の物質や空気中のチリを含有するため、琵琶湖に流入する頃には白く濁ってしまいます。この濁りも魚にとっては悪影響です。
雪代による冷たい水と濁りによって、冬のターンオーバーはより促進されるというわけです。
本来、雪代は気温が上昇していく春先に出てくる話なのですが、冬期でも温かい日が続くと雪は解けて雪代になります。
水質悪化が産卵突入へのトリガーなのでは?
ここまでの話をまとめると以下のようになります。
ターンオーバーによって水中は魚にとって劣悪な環境になります。さらに雪代が流入することで、より劣悪な状態に。
ただし、ターンオーバーが発生するのは水深4m以上の深場だけ。
そしてワカサギは産卵のために接岸する。
これらをあわせ考えると、「ターンオーバー+雪代によってワカサギの産卵が始まる」と考えることが出来るのではないでしょうか?
産卵の準備のために浅場に集まりつつワカサギは、水質が悪化した深場を避けつつ産卵のために一斉に浅場に向かう。つじつまが合いますね。
確かに、今年(2018年)と昨年(2017年)は、1月上旬に雪が降り、その雪が解けてから一斉にワカサギが接岸し始めました。
2年分の情報しかないので偶然かもしれませんが、ターンオーバー+雪代トリガー説は、あながち間違っていない気がします。どうでしょうか?
ワカサギの数が少ない時期の方が釣れるのでは?
なんとなく思ったので書いてみました。アユパターンの時も、アユが多すぎると逆に釣れないと言いますよね?それと同じ原理です。
本物が多いとルアーに見向きもしなくなるだろうから、本物のワカサギが大接岸する直前、もしくは終わる直前くらいが一番釣れるのではないかと・・・。
時期でいうと12月から1月上旬くらい。あるいは産卵が終わっていく2月下旬以降。2月下旬以降はプリスポーニングも絡んでくるので、激熱の時期?
全ては妄想です。
昔は琵琶湖にはいなかった!?放流で広がった魚「ワカサギ」
これも余談です。ちょっと意外かもしれませんが、元々琵琶湖にはワカサギは生息していませんでした。
ワカサギは、冷たい水を好む食用魚。もともとは気温の低い北日本に多く生息していました。(ワカサギは水温の変化に対する適応幅が広く、0~30℃の広範囲にわたって生活することができるようです。)
ところが、ここ数十年の内に食用を目的として各地で放流され、生息域は全国に広がっています。ワカサギが湖やダムに多い理由は、昔ワカサギを大量に放流したからです。
琵琶湖もその例外ではなく、多くのワカサギが放流されました。そのため、近年になって琵琶湖のあちこちでよく見られるようになったわけです。ワカサギは在来魚ではなく、外来魚ということですね。
富栄養化したといわれている琵琶湖においては、エサとなる動物性プランクトンが豊富であり、そのせいでワカサギの数は爆発的に増えたともいわれています。
放流された背景「適応力の高さ」と「需要の高さ」
放流された背景としては、環境への適応力と食用魚としての需要の高さがあげられます。
ワカサギは「水の変化」や富栄養化などの「水質汚濁」、「低水温」、「塩分」に対して適応力が高く、水質が悪い状況でも生息できる魚です。(ワカサギは綺麗な水でしか生息していないというイメージがありますが、水質が悪い水域でも生息できるようです。)
また、ワカサギは非常に美味であることが知られています。
このように環境への適応力の高さと食用魚としての需要の高さから、日本各地の湖やダムなどに放流されました。
ワカサギのことを知っておくとバスが釣れるかも・・・
ワカサギ特集記事第1弾は以上です。
自然観察が重要なバス釣りをする上で、ワカサギの生態や取り巻く自然環境について知っておくことは、決して無駄にはならないはずです。
何かの参考になれば幸いです。
さて、ワカサギ特集第2弾は「ワカサギパターン」を取り上げます。ワカサギパターンとは何かから、ワカサギパターンの時期に有効な釣り方まで紹介します。(明日記事をアップできると思います。)
ワカサギ特集記事第2弾「ワカサギパターン」の記事をアップしました。